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今日は家で家族と過ごしました。
1万9千人。心に置きながら、一歩前、一歩前と歩いて行かなければいけないと思います。


最初の一週間を、書き起こしてみました。けっこう忘れてる。
以前の日記と重複してますが、一応置いておきます。


________________

11日(金)。
雪の予報が出ていたので、傘を持って出勤。したのにバスに傘を忘れる。
普段通りの、仕事。3月の金曜日のわりには、お客さんは少なかった。
14時46分。
緊急地震速報を耳にした憶えはない。揺れ出してすぐ、ついに来るべき時が来たと、確信した。宮城県沖地震だ。
長い揺れだった。ぱちんという軽い音がして、電気が消える。短い悲鳴と、息をのむ音。東西の方向に大きく揺さぶられ続け、天井パネルが外れて落ちた。音を立てて、割れる。
非常電源が働き、うっすらと蛍光灯が光っている。暗い光だった。不気味だった。コートと財布だけ持って、一旦外へ避難する。
避難場所の公園には数千人規模の人が集まっていた。信号は消えて、ぐにゃりといつもと違う方向を向いていた。国道の信号が一切ついていない光景なんて、初めて見た。車は戸惑うようにのろのろと走っている。
一時間ほど待機の後、帰宅の指示が出る。アルバイトの学生を引率して徒歩で帰路についた。酷い吹雪だった。何故朝傘忘れたし。職場で使っていた膝掛けを頭から被って怪しい風体で歩いた。
同じように徒歩で帰宅する人で歩道はいっぱいだった。視界の悪さも相まって歩みは遅い。「仙台って、こんなに人がいたんだね」そんな会話が聞こえてきた。
一時間半の旧国道沿いの道のり。自動車は特段の混乱なく、粛々と走っていた。一度もクラクションの音を聞かなかった。
コンビニには行列。電柱は傾いで電線が緩んでいる。自動車販売店のショーウィンドウは粉々。自宅前の道路は消火栓から漏水して川のようになっていた。広範囲に亀裂が入って、崖側に傾いていた。
自宅の玄関は立て付けがおかしくなって、閉まらなくなっていた。両親は無事で、箒で割れた食器などを片付けていた。
しばらくは出ていた水も、じきに止まった。トイレにゴミ箱を置いて、就寝前の一度と、朝全員が大を済ませてからの一度のみ流すルールにする。
カセットコンロでお湯を沸かして、カップ麺で夕食。和室を片付けて布団を敷いた。暗くなったので、さらに被害の激しい二階から石油ストーブを掘り出して来るのは諦め、コートを着たまま布団に入った。
寝入ろうかという頃、義兄とお父さんが水を持ってきてくれた。顔を見たら、本当に、ほっとして。結婚式からたったの二週間。本当にこの人はうちの家族になったんだと実感した瞬間だった。この後、いろんな人からいろんなものを頂いたけれど、一番ありがたかったのはこの「水」だった。
荒浜で200人から300人の遺体が打ち上げられている、とラジオが言った。うそであってくれと思った。でもそういう事態だと、実感してもいた。
一時間おきに余震で飛び起きた。一晩中、懐中電灯を手から放さなかった。


12日(土)。
電気がないので電話もテレビもない。ケータイの電波は立っていた。
関東以西の知り合いからひっきりなしに安否確認のメールが入る。そのたびに電池が減る。手回しの充電器はいくら回しても追いつかず、ヒステリー気味になる。携帯電話の回線もまだ混乱していた。連絡のつかない親戚がまだたくさん居た。何かあればすぐにも助けに行かなければいけないかもしれない人からのコンタクトを逃さないために、電源を落とすわけにはいかない。安全な場所にいる人たちはどうして自重してくれないのかと腹が立った。テレビを見られる環境の人たちが、あんな衝撃的な映像を目の当たりにしてたとは、その時は知らなかったので。
(後から、NHKの録画をネットで見て、みんないてもたってもいられなかったのだな、と思えた。)
仙台港の火災の煙が自宅から見えた。その時は仙台港のものとわからず、ただ大火事が起こっているのだということしかわからなかった。
家を片付けつつ、ラジオにかじりついて情報を飲み込む。近所の人が入れ替わり立ち替わり寄って行くので、そのたび物々交換。そして情報提供。
仕事帰りの相方が家まで来て、電池式のケータイ充電器を置いていってくれた。水の次に助かったものがこれ。
確か、15時か16時くらい。カタン、と郵便受が音を立てた。まさかと見に行けば、新聞(河北新報)が届いていた。
4面分の、情報。こんな時でも、新聞が届く。強い意志を感じた。
引き続き、和室で家族揃って就寝。窓側を選んだ。窓から冷えが伝わって、とても寒かった。


13日(日)。
両親が栗原にある母の実家の様子を見に出かけたため、一人で家を片付けながら過ごす。
栗原は停電と、地震による建物被害。そしてケータイは全社圏外だったそうだ。
近所の方があたたかいスープを持ってきてくださる。ありがたく頂く。
両親が途中古川で営業している店舗を見つけ食料を買いこんできてくれた。だが、ゆで小豆缶詰×5個、つぶあん750g×3袋、蜂蜜2キロってどういうことなんだい父よ。
家の片付けが進んで、一所でじっとしていたものがあれこれと働き回れるようになる。薄暗くなると、電気が来ていないのに無意識に壁のスイッチに手が伸びる。電気のある生活が、体に染みついている。


14日(月)
自転車で出勤。
遅番だった。通勤途中、かかりつけ薬局が営業しているのを見て飛び込み、薬をもらう(後に面倒なことになる)。
職場の周辺は水も電気も来ている。
仕事は、混乱していた。公表はできないが、いずれまとめておきたい。
退勤後、一番町の様子を見に行く。街中の電気は復旧していたが、店員がコンセントを抜かずそのまま避難したのだろう、閉店中の店舗の看板だけが煌々と光っていた。真っ暗な中身を寄せ合う人のことを考え苦しい気持ちになる。それにしても、通電の時に火事にならずにすんで良かった。
夜、自宅近辺電気復旧。
窓から外を見て、「街灯ついてる!」と叫んだ。夢中でブレーカーを押し上げる。
居間にあたたかい光が灯った。思わずへたり込んだ。


15日(火)。
石原東京都知事がこの震災を「天罰」と発言したことが報道される。地震後初めて泣いた。


16日(水)。
朝、「風呂に入りたい。けど、三日に一度蒸しタオルが作れるだけうちは恵まれてる。」とツイート。
自転車で出勤。帰りに後輩と一番町に寄る。酒屋が開店していたので酒とジュースを買う。牛タン屋が弁当を出している。そこそこ肉入って800円。肉! 3つ買って1つ後輩に持たせる。


17日(木)
積雪。父が庭の雪をバケツに集めていた。溶けたらトイレ用に使える。
雨雪にあたらぬように、厳重にカッパを着込んで出勤。
帰宅してみたら家の前が川になっていた。消火栓からの漏水。ということは水道復旧したのか!
叫びながら家に飛び込み、漏水をしらせるため水道局に電話をする。こんな時だというのにコールセンターのお姉さんの声が美しい。プロとは凄いものだ。お疲れ様です、と言ったらありがとうございます、と心のこもった声で言われた。ものすごい件数を対応しているのだろうなと思う。
帰宅時はちょろちょろ出ていたが、おそらく漏水しすぎたため、20時には止まる。
水道局に連絡したのが18時20分頃。21時過ぎに水道局の方が来て元から水を止めて行った。一両日中には復旧させますと言ってくださる。
ガソリン不足による市民のストレスがこの頃ピークに達していた。営業しているらしいという噂が流れればガソリンスタンド前にキロ単位で列が出来た。とても邪魔だった。乗り捨てられた車に雪が積もる。バス停すらふさがれていた。腹が立つ。本当に恥ずかしい状況だと思った。ああやって車線を塞ぐ車がなければ、緊急車両がどれだけよりスムーズに動けただろう。


18日(金)
一週間。
相変わらずの積雪量。
遅番の日なので、NHKのあさイチを見ながら出勤準備をする。
薄着のアナウンサーを見て、東京のスタジオは暖房が効いててあったかいんだろうな、と悲しい気持ちになる。
避難所からは「灯油がもうない」という悲鳴が聞こえている。
8時20分。水道局が早速来て修繕作業に入ってくれていた。
プロ野球、セリーグが先に開幕すると言い出してモヤモヤとする。電力が足りない中、ドームで電気を使うのかと。

この数日で人様の焦りや怒りを受け止め続けることに疲弊していた。憂鬱な気持ちで出勤。タテタカコの「道程」を聴いて気持ちを奮い立たせる。

 ♪独りで歩く道程が 寂しいものだと感じたとき
  ぬくもりをもつ生きものたちは 互いに手をとりはじめる
  望みが人の性なら 行く手には荒波が来ようとも
  眼差しを遠くまでもつことが 喜び 光 生きること

未来を見て、今日を踏ん張らなければいけない、と思った。

14時46分、黙祷。

オール電化の隣家で、一週間ぶりに入浴。

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