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知らない未来が
のばした手の先
その彼方


太陽の場所は知っている


どこへ行こう
どちらへ行こう

それはもう
私にはわからない
あなたも知らない

だからそれは
二人で決めよう
爛れた羽根を切り落として
凍えた足を引き摺って

せめて生きていられたらいいって
静かにそう思っていた私に

もう一度空を見せてくれたのはあなただったよ


ここからは遠くが見える

こっそり振り返れば
私が捨ててきた可哀想な羽根が
朽ちてなお風に傷んでいるのも見える

いつかあなたにどこにあるか教えるよ

自由に伸びやかに私が空に在った頃
あの頃よりもずっと今が幸せだって
傷跡残る腕で抱いてみせる


もうすぐ朝が来るのかな
朝靄をかきわけて
あなたにしがみつく無様な私を照らしに
羽根なんかないくせに空から未来を希む私を咎めに

そしてあなたは私の手を離さないで
光さえかきわけて進んでくれるのだろう


いつでもいいよこの手を離すのは
拙い道案内は疾うに要らなくなった
あなたは飛んでいける
私も一人で立ち上がれる歩いていける
足の凍えはもう癒えたから
きっと強く生きていける


それでも信じていくよ

振り返って私の腕の指す先に
爛れて朽ちた羽根が遠く落ちていて
古い歌を奏でる私の声を
あなたは止めず聴いてくれる
目を細めて涙を絡めて
朽ちた過去を愛していると言う私を
あなたはきっと抱いてくれる
きっとわたしを赦してくれる
あなたはわたしを赦してくれる


光だってかきわけてあなたは進んでくれる

その先に見えるものを
ふたりで きっと 愛していける
苦しくも
嬉しくも
ないのに
笑っていた

何も
ないのに
笑っていた

ぬるい
ぼやけた
世界だった

わたしには
何も
できなかった
とおく
手の届かぬそらに
やさしい潤いがある
うつくしきくもりの日

幼い心が
潰れていった


地上は
粘りつく


排気ガス
生ゴミ
嘔吐物
朝のため息

閉じ込められて
疼きあがく
ちいさな日々
くもりのうつくしさを知らない
つたない絶望

幼い命が
潰れていった



手の届かぬ空の
届けば知るはずのうつくしさを想う

潰れてしまう前に
空を飛べればよかったのに


いちめんの
やさしいくもり
うつくしき
みずみずしさよ

 
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